協賛：第49回日本分子生物学会年会（その１）

自分で自分を作って増殖する能力は生命に特徴的な能力である。この能力のおかげで生物は増えて進化し、無生物では生み出せないような素晴らしい生命現象を生み出した。もし、この増殖する能力を無生物の分子システムに付与することができれば、生物に頼らずに有用物質の生産ができるようになる。生物よりも設計性と制御性に優れたシステムとなるに違いない。増殖する分子システムの構築のために必要なのは、DNAの複製、転写、翻訳の3反応の試験管内再構成と、それら反応に必要なすべての遺伝子をDNAにコードし、十分量発現させることである。前者の再構成は過去にすでに達成されている。あと必要なのは、試験管内でDNAから必要なすべての因子を十分量発現し、機能させることである。本発表では、発表者らのグループの最近の成果を中心にどこまで進んでいて、残る課題は何なのかを紹介したい。ただ、せっかくランチの時間にお邪魔してお話させていただくので、何かしら有益な情報を提供したいと思っており、以下の（もしかしたら多くの人に有益かもしれない）内容もご紹介したいと思う。1) 大腸菌再構成翻訳系で(いわゆるPURE system)でたくさん発現させるコツ。2) T7 RNAポリメレースで作ったRNA末端配列のバラバラさともっときれいなRNAを作るポリメレースについて。3) タンパク質の翻訳に最低限必要な21種類のtRNA（無修飾）について全部まとめて一度に合成する新しい方法。

In recent years, one of the fundamental questions in life sciences—Can we construct a cell from molecules?—has been driving an accelerating wave of research. This seminar will highlight cutting-edge efforts aimed at building self-replicating and proliferating molecular systems as well as artificial cells. Professor Norikazu Ichihashi, a leading researcher in this field, will present state-of-the-art examples of how the essential functions of life—DNA replication, transcription, and translation—are being reconstituted in vitro, and how researchers are attempting to realize minimal systems capable of autonomous proliferation. Alongside these pioneering studies, we will also introduce Twist Bioscience’s synthetic DNA tools that support advanced genetic design.