DNAデータストレージのアライアンスがホワイトペーパーを発表

Twist Bioscienceが、Illumina社、Western Digital社と共同で設立したDNAデータストレージ・アライアンスが、最初のホワイトペーパー”Preserving our Digital Legacy: An Introduction to DNA Data Storage”を発表しました。このホワイトペーパーは、アライアンスのウェブサイト(www.dnastoragealliance.org)に掲載されています。このホワイトペーパーは、DNAデータストレージの基礎知識、この潜在的な新しいストレージメディアの利点、技術的概要などをサイエンスとビジネスの観点からわかりやすく説明しています。

2020年に人類が生み出すデジタル「モノ」の量は400ゼタバイト(4億ペタバイトまたは4兆テラバイトに相当)を超える可能性があると推定されています。新しい種類のストレージ技術によって、企業などのデータセンターにおいて膨大なデータ量を取り扱う新たなニーズに応えることができる可能性があります。このホワイトペーパーは、デジタルデータの急激な増加に対応するために、なぜDNAデータストレージが必要とされ期待されているのかを論じています。DNAデータストレージの密度は想像をはるかに超えるスケールです。400ゼタバイトは、DNAデータストレージの「靴箱」40個分に相当します。大容量化を目指した開発が今なお進んでいるデータ保存用の磁気テープカセット(Liear Tape-Open; LTO; 約235,000mm3)の内部空間をDNAデータストレージで埋めた場合、DNAストレージのカセットには約2,000,000TB(次世代型LTO-9テープの約115,000倍)のデジタルデータを保存することができます。適切な条件で保存されるDNAは、過酷な環境下で1,000年以上も安定となることもわかっています。DNAデータストレージの密度と安定性は、今後何十年にもわたって予想されるアーカイブデータの増加に対して、コスト効率よく対処するのに役立つ可能性があります。

DNAデータストレージは、密度や安定性に加えて、増え続ける電力と土地を使用する現在のデータセンターと比較して、ごくわずかなスペースとエネルギーで済む、はるかに持続可能な選択肢を提供します。DNAのストレージ密度、耐久性、最小限のメンテナンスコストを組み合わせることで、DNA内のデジタルデータを長期的に維持するためのコストを大幅に削減することができ、アーカイブデータの長期保存に適した選択肢となります。

記憶媒体としてのDNAのもう一つの重要な点は、そのフォーマットが不変であることです。既存のストレージ技術では、メディアの物理的な構造やフォーマットと、それを読み書きするための方法が基本的に連動しています。これに対し、DNAは普遍的なフォーマットであるため、DNAメディアは常に読み書きが可能です。DNAのビットエンコードのフォーマットさえ保存しておけば、どの世代のDNAリーダー・ライターでもDNAの読み書きが可能となります。このアライアンスがシーケンス技術を急速に推進し続けることで、DNAデータストレージが積極的な役割を果たすことを期待しています。

膨大なデジタルデータの保存がますます必要になるという傾向が続く中、合成DNAの高度化技術によって、保存するものや保存期間の規模を根本的に変えることができるデータアーカイブ(ストレージエコシステム)の新たなビジョンが見えてきました。DNAデータストレージアライアンスでは、今後、使用例や市場機会、要求事項などをまとめた新たなホワイトペーパーの発行を予定しています。

詳細は下記の英文記事をご覧ください:
https://investors.twistbioscience.com/news-releases/news-release-details/dna-data-storage-alliance-publishes-first-white-paper-launches